スペインのトマト祭り・トマティーナの楽しみ方
情熱あふれるヨーロッパの国・スペインは料理にも使うトマトがたくさん栽培される。赤く熟したトマトをぶつけ合う祭り・トマティーナがあることをご存じだろうか?町中がトマトまみれになり、人々から歓声が上がって大賑わい。楽しさと激しさを兼ね備えるトマト祭りについて紹介する。
情熱あふれるヨーロッパの国・スペインは料理にも使うトマトがたくさん栽培される。赤く熟したトマトをぶつけ合う祭り・トマティーナがあることをご存じだろうか?町中がトマトまみれになり、人々から歓声が上がって大賑わい。楽しさと激しさを兼ね備えるトマト祭りについて紹介する。
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激しさが伝わる、スペインのトマト祭り「トマティーナ」って?
とにかくつぶしたトマトによってどこも真っ赤に染まる・トマティーナ
トマティーナとは、8月下旬にスペインのバレンシア地方にある、ブニョールという街で行われる、一風変わった祭り。写真で見てわかるように、多くの人がたくさんのトマトをお互いにぶつけ合うという内容となっていて、この日になると、地元国民だけではなく、世界中から何千人、何万人といった人々がブニョールに押し寄せてくる。
ここがトマティーナ祭りの会場となるスペインのブニョールという街
スペインの東側にある地方、バレンシアにある都市。面積は112.40km²で、人口は約9,720人と言われている。なお、この都市の目玉と言えば、トマト祭り・トマティーナと誰もが口をそろえて言う。なおトマティーナは、ずっと昔にこの街の八百屋の前で若者同士がケンカしてトマトをぶつけ合ったことが起源とされている。
祭りに欠かせない真っ赤なトマトは何と120トン以上もあるのだ
トマティーナに不可欠なトマトは、地元の広い農園で採れたものを使い、大型トラック一台分にぎっしり詰め込まれて会場に運ばれる。その量はなんと120トン以上にもなる。もちろんスペインでは、トマトはスープや前菜などのあらゆる料理に使われる。
参加者は世界各国から集まり、とうとう4万人以上にも達した
祭りの参加者は世界中から街の人口の倍以上の人が集まり、とにかく約9720人はいるとされるブニョールの人口を、はるかに上回るくらいの人々が集う。そして2008年には4万人以上も記録したと言われる。
あまりにも過激すぎて、過去2回も禁止命令を出されたことがある
トマティーナの歴史は1940年から始まったが、年数が経つにつれてどんどん過激になっていき、ついには中止せざるを得ないとみなされたこともあった。1度目の中止は1951年に起こり、2度目の中止は1957年に起こったが、どちらも中止に反対する住民からの猛抗議が起こった。
家をトマトの汚れから守るために、このようなビニールがかけられる
トマトの汚れは家にこびり付くこともあるので、会場に面した一部の家屋ではこのようなビニールシートをかけていることが多い。ちなみにビニールシートの補助金は市から出る。
参加するにあたっての服装は、汚れてもよい動きやすいもので!
参加する時の服装は身軽に動けてもう捨ててもいいようなものがよい
お祭り最中の気温は高く、そして多くの人が密集するので、身軽に動ける服装が好ましい。
その上トマトの汚れは、なかなか落ちにくいので、もう捨ててもいいようなTシャツや短パンがとてもよい。
つぶれたトマトから目を保護するために水中メガネも着けた方がよい
顔にトマトをいきなりぶつけられることもあるので、目に入らないようにするために水泳に使うゴーグルも用意したほうがよい。
靴は底が安定していて滑り止めも付いているスニーカーが適している
潰れたトマトは、道全体を覆うので、滑りやすくなる。ハイヒールなどかかとの高い靴や、サンダルなどの脱げやすい履物は避けた方がよい。写真のような、安いスニーカーで充分である。
そして服がトマトで汚れてしまった時のために着替えも持っていくとなおよい
お祭り会場へはバスで行くが、帰りの時にトマトまみれのままでバスに入るのは自分にとってもバス運転手にとっても望ましくないだろう。そんな時に役に立つのがこの着替えである。なお、着替えはビニール袋に包んでおくとさらによい。
いよいよトマティーナに入る前に、ある儀式を行う!
たくさんの人がつるつるしている棒に群がって先端のハムを取るパロ・ハボン
一体何をしているのかと言うと、石鹸をたっぷり塗った木の棒に人が群がって登っている。そしてその木の棒のてっぺんには、生ハムの塊が取り付けられている。棒は石鹸が塗られているためつるつる滑るが、みんな何とか登ろうと必死だ。これは、「パロ・ハボン」と呼ばれる、トマティーナを行う前にする大切な儀式である。
頑張れ!あともう一息でたどり着ける!という雰囲気が伝わってくる
ちなみに生ハムを取った人は、すぐに今年のトマティーナの英雄と称される。また、パロ・ハボンをしている時には、まだトマトを投げてはいけない。なお、棒の長さは、数メートルはあるから、てっぺんまでたどり着くのは容易ではない。
そしていよいよ本番の祭り!なりふり構わずトマトを投げつけよう!
半端ない量があるトマトの準備は重機を使って行わなくてはならない
数えきれないほどあるトマトは、やはりフォークリフトやクレーンなどの大がかりな機材を使わないと、トラックに積み込めない。これだけのトマトがあれば、トマトジュースや缶詰のトマトがたくさん作れることは確かだ。
まさにトマトのせめぎ合いという言葉が似合っていて興奮が止まらない
参加した人全員は、みんな躊躇わず、バシャバシャとトマトをぶつけ合う!それは興奮と熱気が入り混じり、今日一日が忘れられない思い出となるに違いない。
もう散々な目にあった・・・だけど不思議なことに楽しさが湧き出てくる
顔や体にうんざりするほどトマトをぶつけられて、どんなにトマトまみれになっても、そのテンションは落ちない。そしてたくさん浴びたトマトの汚れも忘れられない記念になる。
トマトの汁がたっぷり溜まった地面にひゃっほ~い!と滑っている様子
トマトジュースやピューレは一切使っていないのに、まるでそれらがあたかも使われているように見える。ちなみにこれは弾けるトマトによってできた液となっていて、それはまさに祭り全体を盛り上げている!
トマトまみれになって騒いでいるこの興奮はなかなか収まらない!
人がみんなだんだん真っ赤に染まると、ますます興奮が大きくなってくる。そうれ、踊って歌って騒げ~!!!!!!
こちらの方々はこの時だけしか味わえないトマト風呂を満喫している
決して血まみれになって死んでいるのではありません。道を深く浸しているトマトの液をお風呂のようにして浸っているのです。こんな体験は日常生活では全く味わえないので、今のうちに味わっておきたい。
出典:www.abc.es
大人だけではなくいたずら盛りの子どもだってテンションが高くなる!
トマト祭りは子供も参加可能で、しかもこの遊びは、いたずらしたい、遊びたい盛りの子どもには、持って来いのお祭りでもある。
出典:www.abc.es
トマトの海となっている地面でスライディングだぁ~!!!!!!
物凄い勢いでトマトの海を滑っている。これは迫力満点の写真が撮れそうで、男なら誰もがこうしてみたくなる。そして同時に湧き上がる液体の飛沫も絵になっている。
バケツに入ったトマトがヴァッシャーッ!!!とかかる様子がまた楽しい
たくさん潰したトマトをバケツに入れて、誰かにこのようにぶちまけているという光景もお祭りでは日常茶飯事である。(もちろん許されるのはトマティーナの日だけ)
遠くから見るとみんな凄まじい戦争があったように血まみれに見える・・・
決して銃を使った戦争やテロリズム、惨(むご)たらしい殺人現場ではありません。これでもみんな結構楽しんでいるんです。しかしトマトの汁が真っ赤なので、どうしても血に見えてしまう・・・
もちろん祭りの最中はそばにある壁も真っ赤なトマトまみれになるのだ
決して残酷な無差別テロが起こったわけではありません。そして白い壁があると、飛び散ったトマトが血のりのように見える。これは汚れを落とすのに一苦労となる。
とにかく限られた時間の中でワイワイに精一杯盛り上がれ~!!!
なお、トマティーナでトマトをぶつけ合うことができる時間は、1時間程度である。約束の時間が来たら、トマトのせめぎ合いは終了となり、同時にお祭りも終わる。この定められた時間内に、悔いが残らないように精一杯盛り上がろう!!!
トマトを積んだトラックを真上から見ると、こんなに賑わっている
何十トンもあるトマトを積んだこのトラックを真上から見ると、たくさんの人が収められていてこんなに賑わっていることが伝わる。そしてトラックの中のトマトはぐちゃぐちゃに踏みつぶされているに違いない。
やっぱりトマティーナは、情熱の国・スペインらしい祭りだった
真っ赤なトマトを時間が許す限りぶつけ合うトマティーナは、情熱の国・スペインらしい祭りとなっていて、常に熱気と活気であふれている。そして何より、熱狂的で情熱的な祭りだと連想できる。
参加するにあたって、守っておきたいルールと注意事項
真っ赤に熟したトマトはそのまま投げずに必ずつぶしてから投げる
トマトは、そのまま投げるとかなりの衝撃を与えるので、安全性を配慮して、必ず手でぐしゅっと握ってつぶしてから投げつけ合う。これはもうトマティーナの鉄則である。
たくさんのトマトを積んである大型トラックにもぶつからないよう注意
トマトを数えきれないくらいに積んでいるトラックは、とても大きい。そして会場まで移動することだってある。大型トラックは、巻き込み事故の危険性も高いので、異動している時は近寄らないなど、十分に気をつけること。
終わったらシャワー代わりのホースの水を浴びて汚れをしっかりと落とす
盛大で真っ赤なトマト祭りが完全に終わったら、お疲れさまの意味をこめて、町の人々からホースで勢いよく出された水が提供される。これで、体についたトマトを洗い流せて、まさにお祭りを締めくくれる。
街が用意してくれた散水車も、汚れを落とすのに役立っている
体や街にこびり付いたトマトの汚れを落とすのには、ホースの水だけでは至らないことがある。だから市で用意した散水車が登場して、汚れを一気に落とすのに貢献してくれる。
出典:joojoobs.com
スリの被害に遭わないためにお金などの貴重品は絶対に持ち歩かないこと
お祭りの最中は、貴重品をうっかり落としたり、悪い人にすられたりする危険があるので、絶対貴重品を持ち歩かないこと。ちなみにトマト祭りの参加費用は一切無料となっている。
終了の時間になったら合図を送るので必ずトマトを投げるのをやめること
トマトのぶつけ合いの時間は、1時間程度である。終了の時刻になったら合図があるので、それが行われたら必ずぴたりとやめること。
出典:sha.org
祭りの最中はガラス瓶のような危険なものを持ち込んではいけない
ガラスでできた瓶は、割れるととても危ないので、絶対にお祭りに持ち込んではいけない。もちろん、過激派が使うような火炎瓶だって厳禁である。
テンションが上がった状態になっても他人の衣服は絶対に破らないこと
お祭り中はつい調子に乗って、他人の服を破る輩(やから)が出てきている。これはれっきとしたマナー違反であり、絶対に行ってはいけない。特に女性にやってしまうと平手打ちを食らう。
祭りを楽しんだ後は、グルメや観光を満喫してもOK!
お酒やおつまみが揃っているバルへ直行して祭りの疲れを癒す手もある
お祭りで思いっきり騒いだり盛り上がった後は、美味しいビールやお酒各種、さらには一口で食べられるスペイン自慢のおつまみ、ピンチョスを揃えているバルに直行する人が多い。
祭り会場から近い位置にあるイビサ島へ観光に行っても全然構わない
トマト祭り・トマティーナの会場は、短い時間の飛行機で渡れるイビザ島に近い。さらに祭りが終わるのは日中なので、終わった後に一度着替えて島へ渡るという人もたくさんいる。