20代~30代必読!女性ならではの感性が光る女性作家の名作6選
主に20代~30代の女性作家を紹介。女性目線の恋愛小説、女性をテーマにした小説、女性ならではの感性が光る小説など、今をときめく女性作家たちの作品を紹介します。
主に20代~30代の女性作家を紹介。女性目線の恋愛小説、女性をテーマにした小説、女性ならではの感性が光る小説など、今をときめく女性作家たちの作品を紹介します。
2016.3.8 UPDATE
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20~30代の女性に読んでほしい女性作家の小説
恋愛はもちろん、仕事、人間関係、妊娠・出産などの人生の節目への不安。
なんとなくもやもやする焦り。孤独感。
素晴らしい小説は、そんなあなたを勇気づけ、人生を前向きに歩むためのパートナーになってくれます。
また、あなたと同年代の女性作家たちは、常に社会に目を向け、独自の感性を生かした作品を発信しています。彼女たちの作品をリアルタイムで読めば、より深い共感ができ、あなた自身の感性も磨いてくれるはずです。
本をよく読む人も、あまり読まない人も、ぜひ1度手に取ってみてください。
独特の世界観、ダイナミックな展開。各界にファンを持つ実力派。
西加奈子
1977年5月7日生まれ。
作家というのはそれぞれ個性を持っているものですが、西加奈子さんには「西ワールド」としか表現できない独特の世界観を強く持っている作家さんです。
又吉直樹さんや宮崎あおいさんなど芸能界にもファンを多数持ち、テレビに出演すれば芸人もびっくりのトーク力を披露しています。
笑えるんだけど、根っこがしっかりしてるから物語が薄っぺらくならない。
ほのぼのした雰囲気に見せて、ふいに「グサッ」と痛いところを突いてくる。
価値観を揺さぶられ、小説の世界にどっぷりと浸りたい方はぜひ!
きいろいゾウ
お互いをムコさんとツマと呼び合う若い夫婦。
ムコは背中に鳥の刺青があり、ツマは動物や虫の声が聞こえるちょっと変わった体質の持ち主。
九州の田舎に引っ越してきて、物語の中盤までは、スローライフともいえるふたりの穏やかな日常の描写が続き、心地良い世界に引き込まれていきます。
しかし、中盤以降、ムコさんの鳥の刺青にまつわる過去が明かされていき、ふたりの関係に亀裂が入ります。
1つの作品の中で、こんなにも愛しい人に対する感情を「優しさ」と「激しさ」の振れ幅をもって描けるものなんだなと衝撃的でした。
繊細な感情表現がすごい! 切ない系恋愛小説の名手。
島本理生
1983年5月18日生まれ。
これといった事件が起こるわけではないのだけれど、何気ない日常の中での人間の感情の機微を描き出すのが非常に巧みな島本さん。
ジェットコースターのような恋愛より、大切な人と少しずつ関係を築いていきたい人。
叶わない恋をしていている人。
大切な人との未来が見通せなくなっている人。
人を好きになることの難しさに悩んでいる女性におすすめです。
ナラタージュ
大学2年生の泉は、高校生の時に思いを寄せていた演劇部顧問の葉山先生から、後輩の演劇指導に来てくれるように頼まれ、再会を果たします。
ストーリーとしてはシンプルですが、泉と葉山先生、そして泉に思いを寄せる小野君の感情がときに向き合い、すれ違い・・・。
主人公は煮え切らないし、葉山先生は残酷です。
でも、相手のダメなところに惹かれたり、自分のエゴを押し付けてしまったりって本当はよくあることなんですよね。
痛いくらいわかる! 女同士って難しいよね。
柚木麻子
1981年8月2日生まれ
「読むと元気が出るビタミン小説」なんてキャッチコピーがついた「ランチのアッコちゃん」シリーズがベストセラーとなった柚木麻子さん。
しかし、柚木さんは女性同士のワイワイとした楽しさを描写した作品の一方で、女同士の関係の難しさを生々しく描きだした作品も多く発表しています。
ファンの間では、表柚木と裏柚木なんて呼ばれているとか!
女の子って楽しい!
でも時々しんどい。
そんな多くの女性たちの共感を得ています。
ナイルパーチの女子会
こわい!こわいよ!
キャリアウーマンの栄利子と専業主婦の翔子。栄利子が翔子のブログの愛読者であり、近所に住んでいたことから2人は友達に。だけど、栄利子は翔子に対し、徐々にストーカーのような行動をとりはじめます。
自分に欠けているものに人は執着する。
自分は自分、他人は他人と割り切れたら楽なのに、真面目さゆえに自分と相手を追い詰めてしまうのかもしれません。
腐女子必読! 男×男の描写が熱い!
三浦しをん
1976年9月23日生まれ
エッセイ面白さに定評のある三浦しをんさん。腐女子であることを公言し、BL漫画への愛を綴った「シュミじゃないんだ」なんてエッセイまで書いちゃってます。
「林業」や「辞書編集」、「文楽」など、あまり馴染みのない職業を舞台にしたエンターテイメントで楽しませてくれたかと思えば、かなりダークな恋愛小説を発表したりと幅広い作風を持ち、いつも読者を驚かせてくれます。
三浦さんの描く人間は、悩みを抱えていたり、影があったり、決して完璧ではない。
だからこそ笑えて、泣けてくるのです。
まほろ駅前多田便利軒
まほろ駅前で便利屋を営む多田のところへ、高校の同級生行天が転がりこんできます。
ともにバツ1で訳アリの二人は、なんだかんだと文句を言いながらも、一緒に便利屋の仕事をこなします。
友情とも、家族とも、なんともいえない2人の関係。それでも一緒にいることで、過去の傷と向き合うきっかけを得ていきます。
映画・ドラマ化され、多田を瑛多さんが、行天を松田龍平さんが演じています。
透明感のある文章でぐいぐい引き込む本格派ミステリー!
辻村深月
1980年2月29日。
ペンネームの辻村は、ミステリー界の大御所綾辻行人さんから拝借したものらしく、子供の頃から大のミステリーファンで、サブカル少女だったとか!
「ミステリー」と聞くと、人が死んだり、怨念がドロドロ渦巻いたりして残酷な話をイメージする方も多いと思いますが、辻村さんの描く物語は思春期や若者らしいの感情の揺を時に苦く、だけど優しい目線で描いてくれています。
透明感のある文章にぐいぐい引き込まれて、読み始めたらとまりません。
スロウハイツの神様
人気作家のチヨダ・コーキは、自身の小説を模倣した殺人事件をきっかけに筆を折ります。
10年後、脚本家の赤羽環をはじめとする、クリエーターの卵たちと「スロウハイツ」というアパート共同生活を送ることになります。お互いを刺激しあい、楽しい時を過ごしていた住人たちでしたが、空室だった201号室に新たな住人である加々美莉々亜が入居したことで、歯車が狂い始めます。
日常の描写が多く続きますが、登場人物たちが魅力的なので飽きさせません。下巻の伏線回収は本当にお見事!
爽やかな青春小説と本格派ミステリー、1冊に両方の魅力が詰まっている、辻村さんらしい傑作です。
妊娠・出産・育児、そして家族。現代女性の苦悩を生々しく描く。
窪美澄
1965年生まれ。
小説家になる前は、ライターとして妊娠や出産、育児、女性の健康などをテーマに活躍されていたそうで、小説の中にも「現場での取材経験が生きているのかな?」と思える描写が数多くあります。
これまで世間ではタブー意識の強かった女性の「性」や「家族」という存在の違和感や負の側面を生々しく描きながらも、不思議と後味は悪くありません。
現実はつらい。それでも、前を向く。
作品からは、そんなメッセージが聞こえてきます。
ふがいない僕は空を見た
5つの連作短編集。
小さな地方都市で、それぞれが「やっかいなもの」を抱えながら生きています。
登場人物たちは年上の主婦との不倫画像がばらまかれたり、認知症の祖母の面倒を見ながら空腹にあえいだり、懸命に助産師の仕事に取り組むけれど、ひどい言葉を投げつけられたりと不遇です。
物語のはじめから終わりまで、救いらしい救いはありません。
それでも、生き抜こうとする登場人物たちの姿を胸を打ちます。