イギリスのチーズ転がし祭りは世界でも危険と有名なお祭り

現地では、「チーズローリング」と言う

チーズ転がし祭りとは、イギリスの丘陵地帯・コッツウォルズにある州都・グロスターのクーパーズヒルで毎年春に行われる行事である。最初は地元の人のみで楽しまれていたが、世界中から注目が集まって、色んな国の人々がこれを見るために訪れている。

開催される日は、スプリングバンクホリデーと呼ばれる毎年5月の最終月曜日が該当する

毎年一回だけ開催されるチーズ転がし祭りの日にちは、毎年5月の最終月曜日となっている。これは銀行は土日以外にお休みとなる日で、決して何かを祝ったりお祭りしたりする日ではないが、チーズ転がし祭りにありがたい格好の一日となる。

ここが、コッツウォルズの街

ビッグベンを始め、高層の建物が並んでいるロンドンと比べると、まるで絵葉書や絵本の世界に出てきそうな風景が広がっていて、のどかで過ごしやすそうな印象がある。さらにここは、イングランドの中心地とも言われている。

チーズ転がし祭りのルールの説明

丘の頂上から円形のチーズが転がされ、参加する競技者がそれを追いかけて坂を下りる。しかし転がるチーズは時速１００キロ以上もあって、人間がそれに到達するのは難しいので麓（ふもと）にあるゴールの線を最初に超えた人が優勝となる。

つい最近始まった行事ではなく、遥か昔からやっていた

詳しいことはわかっていないが、チーズ転がし祭りはずっと昔にクーパーズヒルで偶然チーズが転がったことから誕生したと言われている。地元や世界各国からの人に愛され続けて、２００年以上もの歴史が築かれた。

２０１０年には、中止となった

こんなに賑わうチーズ転がし祭りは、ケガした人が続々と出てきて運営もうまくいかなかったことから、2010年には中止を宣告したこともあった。しかしこんなに楽しいお祭りを止めさせてはいけないと集まった人たちによって、再び再開した。

ダブルグロスターチーズ

一見フランスのカマンベールチーズのように見えるが、イギリスで誕生した伝統的なセミハードタイプのチーズで、重さは４kgある。脂肪のない生乳と搾りたての全乳で作るシングルグロスターと、すべて全乳で作るダブルグロスターの２種類があり、祭りではダブルグロスターが使われる。

ダブルクロスターチーズは、祭り当日販売している

競技で使われるダブルクロスターチーズは、お祭り当日に出る売店で買うこともできる。残念ながら優勝できなかった人は、そこで買っていくことも多い。

レースにもなる、クーパーズヒルの坂

濃い緑色の芝生がなだらかに坂になっているように見えるが、けっこう勾配がきつく、角度も意外と急になっているのだ。イギリスにこんな緑の坂があるなんて想像できない。そしてここは、ダンボールで作ったソリを使った草滑りの絶好の場所にも見える。

スローモーションカメラで撮ると、勢いが伝わってくる

みんな、転がっているチーズに追いつけないだろうけど、「チーズよ、待て～！！！」という思いでいっぱいだということを感じる。もちろん周りからは歓声が上がっていそう。

これだけでも、十分に絵になる

先ほど紹介した、勾配が急な緑の坂にはチーズを追い求める参加者がすごい勢いで駆け抜けている。この光景は高貴なイメージのイギリスからかけ離れているかもしれないが、活気にあふれていることが伝わってくる。

勇ましく追う男たち

この祭りに燃える男たちは、まるでサバンナを駆け抜けるライオンやチーターなどの猛獣が走っているように、とても勇ましく見える。

坂を真正面から見ると

囲んでいるギャラリーの応援、走っている人の精いっぱいの頑張りが伝わってくる。こんな光景が、英国・イギリスで行われているなんて想像もつかない。

行っけーーーーっ！！！！！

思わず「とにかくみんな突っ走れ！」「転んでもくじけずにひたすら走れーーーーー！！！！！」と応援の歓声を上げてしまいそうだ。

例え転んでも楽しさは大きい！

やっぱり坂が急なので、思わず転んでひっくり返ってしまうこともある。たとえ転んで少しケガをしてしまっても、諦めずに前へ進んでいく姿勢が素晴らしい。この光景から、人生は、まさに七転八起だということを感じられる。

転がって滑ったって、へっちゃらだ！

こんなに人が転げまわっていては、チーズ転がし祭りならぬ、人間転がり祭りにもなる。

多くの人の歓声が沸き上がっている

遥か昔にかつてあった、イギリス対フランスの百年戦争を思い出す。その熱い戦いが現在、このチーズ転がし祭りに反映されているようだ。

慎重と優勝したい気持ちが交錯する

転ばないように坂を慎重に渡りたいが、それでは遅くなってしまいチーズにたどり着けない。だからといって勢いよく坂を走ると、転んで思わぬケガを負ってしまう危険がある。だから、試合中は慎重さと優勝したいという興奮した気持ちが入り混じっている。

例え尻餅ついても、くじけない！

チーズとともに、人間も転がることもある。ズデーンと転んで尻餅をついてしまっても、全然くじけずに前へ進んでいく姿勢は、何事においても大切なことだ。

ヘルメット、肘当て、膝当てを付けて防護している

やっぱり坂をものすごい勢いで下っていくと、怪我を負ってしまうことがあるので、選手たちは頭にヘルメットを被り、肘と膝にそれぞれ防護をしていることも多い。これだけ準備をしていれば、怪我も減らせるに違いない。

チーズはほぼ目の前にあるのに・・・

あともう少しで掴めそうなのに、なかなか掴めないというもどかしさと、ひゃっほう！という興奮や楽しさがあふれている。そして、これは忘れられない最高の思い出にもなる。

転がり続けたチーズは泥だらけ

ゴロゴロと長い坂を転がったチーズは、こんなに泥だらけになる。もちろんこれは包装用のフィルムで包まれているので、フィルムさえはがせばきちんと食べられる。

コスプレして参加する人もいる

チーズ転がし祭りに参加するなら、動きやすい服装が求められるが、中にはお手製のコスチュームを着て参加するという人もいる。やっぱりコスプレが加わると、相当盛り上がること間違いなし。

楽しんだ後は、ビールで１杯

祭りを思いっきり楽しんだ後は、近くのパブによってビールを一杯楽しむ人が多い。そしておつまみには、競技で使われたチーズを始めとする、色んなチーズを味わう。

やはり、転んじゃう人もたくさん出てくる

楽しさのあまり、ついズデーッと足を滑らせて転ぶ人も多い。幸いケガの経度が軽傷というのがまだ救いだ。

バク転（？）をやってしまう人もいる

中には、ダイナミックにバク転して転ぶ人もいる。やっぱり熱い興奮が収まらないということを物語っている。

足がとんでもない方向へ・・・

先ほどのバク転と同様に、足が思わぬ方向へ行ってしまう人も多い。これは気を付けないと大ケガを負う危険性が高い。

すりむいて、顔から血が・・・

真ん中の男性は、転んで芝生に顔をぶつけて出血した。やはり、手が付けられないような興奮状態になると、自分の安全は確保できない。

さらには、救助隊員が来ることもある

骨折などの重篤なケガも、起こらないとは言えないのだ。骨折して動けない状態になったら、救急隊員が来て病院へ連れていくこともある。

ケガを防ぐために、ヘルメットをつける

転んだ時に避けたいのが、頭の事故である。だから参加する時は自転車やローラースケートでもおなじみのこのヘルメットをかぶるとよい。さらに、肘やひざを守るために肘当てやひざ当てもつけると、さらにケガを防ぐことができる。

なお、参加は自己責任となる

これまで説明したように、結論から言えばチーズ転がし祭りはケガを伴う危険がある。だから、参加するにあたってはケガの覚悟もしておかなくてはならない。当然ケガを負っても、治療費は自分で払わなくてはならない。

一番最初にゴールして、優勝だ～！！！

チーズ転がし祭りで優勝すると、今回使った転がしたチーズがもらえる。手に入れると、このように高くチーズを掲げて記念写真を撮りたいものである。

アメリカの星条旗スーツを纏った男性

彼も優勝して、チーズを掲げている。アメリカ国旗の柄がついたスーツによって、より優勝者にふさわしい印象を与えている。

女性でも、優勝者が出ることがある。

女性もチーズ転がし祭りに参加して、優勝することがある。ちなみにチーズ転がし祭りには、女性向けのコースも用意されている。

泥だらけになっても、優勝すれば全然平気！

チーズ転がし祭りで優勝した瞬間は、長い人生の中でかけがえのない宝物になる。なので、たとえ優勝できてもできなくても、転んで顔や体が泥まみれになっても全然気にならない。だからそれほどチーズ転がし祭りは楽しいお祭りと言える。

この丘陵地を、麓から一気に駆け上がるという競技も行われている

これまで紹介してきたチーズ転がし祭りは、ただ坂から転がしたチーズを追いかけるだけではなく、同じ場所の丘陵地を一気に駆け上がるという競技も行われている。しかしここは結構勾配がきついので、1位になるのは至難の業だ。

大規模なスーパーマーケット・コストコでもダブルクロスターチーズを扱う

会員制を採用している、アメリカの大規模なスーパーマーケット・コストコは、常に大勢で食べるのにふさわしい食材を販売している。そしてチーズ転がし祭りに欠かせないダブルクロスターチーズも、このように真空パックに詰めて販売しているのだ。