【マチュピチュ】高い峰の上にそびえるペルーの空中都市

【マチュピチュ】高い峰の上にそびえるペルーの空中都市

南米ペルーは、先住民族の文明の遺跡がたくさんある。その中の1つ、「マチュピチュ」をご存じだろうか。標高が高い山の上に存在し、インカ帝国の名残がある神殿などが残る、謎だらけの遺跡であるが、一度は探訪してみたくなる場所だということを紹介する。

アンデス文明の神聖な空気が包む空中都市「マチュピチュ」

天空の要塞都市とも称えられている古代インカ帝国の誇り・マチュピチュ

マチュピチュとは、ペルーにあるマチュピチュ山とワイナピチュ山を繋いでいる、標高約2400mの山稜に存在する遺跡。そこは麓からは全く見えず、空中から見ることが可能なので、「空中都市」という名も持ち、1983年には世界遺産となった。

隣にある壮大なワイナピチュ山からはマチュピチュの絶景を見られる

ワイナピチュ山は、マチュピチュより標高が高いので、ここから、壮大なマチュピチュのすべてを眺望できる。

この都市が発見されるまでの過去は、今も調査が進められている

アンデス文明には文字がなかったため、様子をうかがわせる記録のようなものがなく、マチュピチュという遺跡はなぜ造られたのかは、残念ながら現在でも明らかになっていない。
しかし、ある考古学者の研究によると、以下のようなことが推定されている。

1、マチュピチュは、アンデス文明の最後を象徴する「伝説の都市」でもある
インカ帝国は、スペインの侵略によってほぼ滅亡状態になった。
追い詰められたインカの人々は、深いジャングルの奥に、スペインへの抵抗のための作戦を考える基地を作った。
とうとうインカ帝国は滅びてしまったが、その基地がスペインに発見されることはなかった。
なので「伝説の都市」という肩書きもあった。

2、遺跡となった建物には、驚きの建築技術が生かされていた!
ペルーは地震が多い国で、マチュピチュがあるのはなんと活断層の上なのだ。さらにその地は降水量も多いため、より地盤が緩いことは明らかである。
マチュピチュにある建造物は、見栄えがよいと思われがちだが、「あること」にも備えてあるのだ。
そう、答えは「地震が来た時に備える」である。

それに応える造りの方法は、正しく噛み合うように石を加工して、隙間が出ないように組み合わせる。
さらに、建物の60%を地面に埋める。その底には雨がたくさん降っても水はけが良いように粉砕した石を敷き詰めておく。

これらの技術が生かされずに、ただ石を積んだだけでは、当然大地震によって崩れて、本当に失われた遺跡となっていただろう。

インカ帝国の足跡が残る謎だらけの遺跡めぐり

遺跡入口が、観光のスタート地点とゴール地点である。そこでパスポートチェックを受け、少し歩くと、マチュピチュ遺跡めぐりが始まる。
なお、マチュピチュでは歩く道筋が決められていて、前の遺跡に戻りたいと思っても戻れないので注意。

出典:gokimdo.com

遺跡の中で南の位置にある見張り小屋からマチュピチュ全てを眺望できる

遺跡内で、南の位置にある小屋。現在ではマチュピチュ全体を一望できる場所として有名。名前の通り監視の役割ができるように、マチュピチュで最も高い所に指定した。

またの名を葬儀の石とも言う儀式の石もインカの光景を思い出させてくれる

インカの世界観が反映されているのではないかと言われている、花崗岩(かこうがん)でできた石。これは神に捧げ物をするために使われたのか、死体を納める墓地として使われたのではないかと今でも研究されている。

植えた作物がよく育つように工夫して作られた段々畑もおすすめだ

日本にも見られる、作物を育てるための段々畑。日光や降り注ぐ雨水の恩恵を受けて農作物が育つように、斜面に造られた。畑の中は土だけではなく、小石や砂利を敷き詰めて、水はけをよくしているのが特徴。

石でできていて隣にあるワイナピチュ山が見えるように作られた市街地の入口

大きな石で造られた、覗くとワイナピチュ山が見える門。また、入り口の3か所にひもを通せる穴が開いているので、木の扉が取り付けられたこともあった。

全てが石のブロックでできていてなかなか手が込んでいる太陽の神殿

マチュピチュで唯一の、滑らかな曲線を持った石造りの壁の建物で、その名前の通り、昇る太陽が神殿を照らすから、この名前が付けられた。

大きな岩を目的に合わせて加工するために使っていた石切場もそのまま現存

その名の通り、マチュピチュの遺跡を築くのに不可欠な石を切り出した場所。ちなみに石の種類は儀式の石も構成している「花崗岩」である。

出典:kinooze.com

石を丁寧に加工する職人たちが暮らして仕事を行っていた作業小屋

職人自ら住み込み、建物の重要な材料となる石を加工していた小屋。これだけ広いことからたくさんの人が暮らしていることが推測される。

ここからインカ帝国が反映していったのではないかと言われる3つの窓の神殿

窓は本当は5つあるのだが、左右の2つは塞がれているので、3つの窓の神殿と呼ばれていて、この神殿から、インカ帝国を築いたといわれる伝説が残っている。

先ほど紹介した3つの窓の神殿とも直結している主神殿は必ず見ておきたい

未完成だが、マチュピチュの中で一番重要とされている神殿で、広場に面しており、ミイラが置かれたとも推測されている。積まれている石はすべて四角い石なので、構造が遺跡の中で一番しっかりとしている。

重要な祭典などを行ったり祈りをささげるのに欠かせなかった神官の館

その名の通り、神官を待機させた場所。神聖な祭典を行う時に必要な神官は、待つだけではなく祈りを捧げたりもした。

見所が集中していると言われている神聖な広場も必見の価値がある

少し崩れてはいるがマチュピチュの中央にあり、見どころも集結している。何より標高の高い位置にあるので、素晴らしい見晴らしも楽しめて、先ほど紹介した上3つの神聖なる建物が、まるで守るかのように取り囲んでいる広場となっている。

太陽の光によってできる影を生かして季節を読んでいたインティワタナ(日時計)

この角柱は東西南北を指す角があり、太陽暦で暦を図っていたインカの人々が、季節を読み解くための日時計として利用していたものである。

緑の芝生がどこまでも広がっていて青い空と調和しているメイン広場

区域を分割する役割もあった広場。観客席の跡もあり、色んな催し物や祭典などが行われた。ここはまさに野外競技場だったとも考えられる。

その後ろにはワイナピチュ山がどーんと構えているワイラナという小屋

登山や儀式の準備室としてあった、向かい合って2棟ある小屋。ワイナピチュへの登り口がこの向こうに広がっていて、現在は、マチュピチュを訪れた人のための憩いの場として建っている。

出典:www.tripping.com

どーんと構えていてアンデスの人がたくさん崇拝に訪れに来る聖なる石

先ほどのワイラナの間にある石。その後ろには、この石によく似ている、ヤナンティン山がそびえる。

日常生活で身に着けておきたい文化や工芸品の技術を教えた3つの入り口の家

同じ造りの建物が並ぶ、3つの入り口を持つ遺跡。工芸品、言語、インカの歴史などを教える、学校のような場所で、多くの人が集まった。

急斜面に建てられていて周りと調和して素晴らしい風景を出している2階建ての家

利用目的などの詳細は解明されていないが、マチュピチュでは滅多に見られない2階建ての家。斜面に建てられている。

今でも明らかになっていない謎が秘められている天体観測の石も忘れず

直径60cm程度の2つの石。一見石臼のようだが、天体観測に重要な役割を担っている。その方法は、くぼみに水を張って、そこに映る太陽や月や星を観測したのではないかと推定されている。

出典:www.hiro500.com

冬の時期になると光が差し込んで明るくなる洞窟・インティマチャイ

人があまり訪れることはないが、冬至になると、太陽が暗い洞窟を照らす。「太陽が目覚める場所」と称される遺跡。

ゴツゴツした岩が勇ましく見えるコンドルの神殿もこの遺跡の目玉だ

最初は、儀式のみ行っていた場所だと思われてきたが、罪人を投獄する牢屋でもあるということが判明した。外観はまさに、翼を広げた勇ましいコンドルに似ている。

人々が生きるためには絶対欠かせない水を引いてきた16の水汲み場

生きるために欠かせない「水」は、マチュピチュではどうしていたのだろうか。実はマチュピチュには、ワイナピチュから水が滴り、絶えず流れてきて、その水を確保するために、16もの水路と水汲み場が造られた。

外側に階段が付いていて2階建てにもなっている王女の宮殿(写真左)

太陽神殿の隣にあり、王女または身分の高い人が利用したのではないかと考えられているが、不明である。

頑丈で重厚な造りとなっていて天体観測も同じく行われていた王の別荘

別名を「皇帝の部屋」ともいう、マチュピチュを訪れた貴賓のためにあるような遺跡。太陽の神殿と同じ区域に位置し、頑丈な造りの扉と、観光客は使用できないが、遺跡内でただ一つのトイレがある。

そして、ゴールでもある遺跡入口にたどり着いて、マチュピチュ観光は終了。
なお、すべての遺跡をめぐるのに要する時間は、約2時間30分程度である。

結論:近郊には、面白い穴場「マチュピチュ村」がある!

山の麓に位置する観光客のためのマチュピチュ村(旧アグアス・カリエンテス)

雄大なマチュピチュ遺跡めぐりは、楽しいがさすがに疲れることもあるだろう。そんな時に寄りたいおすすめのスポットが「マチュピチュ村」という施設。そこは何で有名なのかと言うと、日本でもありがたがられる「温泉」が湧き上がること。マチュピチュから近く、プール感覚で楽しめる設備も整っている。まさに旅の思い出にもなりそうな村だ。

マチュピチュ観光を楽しむために知っておくこと

マチュピチュの見学には、次のことが義務付けられているので、必ず守ること。

1.飲物は水筒に入れて持参すること。また、ペットボトル等の場合は、必ず持ち帰ること。
2.遺跡内へ食物を持込まないこと。
3.バックパック等の大きな荷物を遺跡に持込まないこと。
4.遺跡石組みの上に立ったり、登ったりしないこと。
5.焚き火等、喫煙以外で火を使わないこと。
6.ゴミは遺跡内のゴミ箱を必ず使用すること。
7.注意を払って喫煙すること。
8.遺跡周辺の生態系を、崩す原因になるような行為に関わらないこと。
9.遺跡内を流れる水を汚さないこと。
10.矢印等で指定された場所以外には、立ち入らないこと。

出典:fuko.s1.xrea.com

・さすが太陽の国と呼ばれるペルーだけあって、マチュピチュの日差しは強烈である。
 なので、帽子と日焼け止め、サングラスは必須である。
・たとえ暑くても、虫刺されや日焼け防止のために、長袖シャツを着ることをおススメする。
 場合によっては、虫よけスプレーがあると便利。
・また、雨が降りやすい地でもあるので、雨具も必要。

空中都市・マチュピチュへの行き方

日本から南米へは、ノンストップの直行便で行くことはできない。
途中で、他の国を挟んで行くことになる。
日本から、マチュピチュのあるペルーへは、アメリカ合衆国のニューヨーク、アトランタ、ワシントンD.C.,またはメキシコのメキシコシティを経由して、ペルーの「ホルヘ・チャベス国際空港」へ行く方法が上げられる。
(航空会社によっては、カナダやヨーロッパなども経由することもある)
空港から、クスコへ飛行機で1時間20分かけて向かう。そこからマチュピチュまでの約110kmを車と列車を乗り継いでマチュピチュ村駅まで行く。さらに専用バスでハイラム・ビンガム・ロードの入り組んだ坂を登ると、マチュピチュの玄関である遺跡入口に着く。


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