「ポンペイ遺跡」イタリア旅行で必見!火山で滅びた古代ローマの世界遺産を観光‏

「ポンペイ遺跡」イタリア旅行で必見!火山で滅びた古代ローマの世界遺産を観光‏

観光地としてにぎわう国、イタリア。歴史・芸術・グルメなど、名所が豊富にあるが、その中でも「ポンペイ遺跡」をご存じだろうか。古代都市として栄えていたが、一瞬で火山の噴火に伴うたくさんの灰に埋もれてしまった町は、イタリア旅行でぜひ押さえておきたい場所であることを紹介する。

2019.12.3 UPDATE

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火山の噴火で一度は閉ざされたが、今は立派な観光名所となった「ポンペイ遺跡」

イタリア南部のナポリという街にある古代遺跡・ポンペイ遺跡について

イタリアの南側の町・ナポリにある、面積は98ヘクタールある古代ローマの遺跡。ヴェスヴィオ火山(この写真の背景)の大噴火によって、もう復興できないぐらいの壊滅状態になり、町全体は火山灰で埋め尽くされた。1748年に農民によって、ポンペイは見つけられ、発掘と研究が行われ、1997年に文化遺産として世界遺産登録になった。

さらにポンペイそのものは大迫力のある映画になった実績もあるのだ

2014年6月に、火山噴火で失われるポンペイに生きる恋人同士を題材とし「POMPEII」という、迫力満点の映画が公開された。なので初めてポンペイを訪れる人は、この映画を鑑賞して当時の様子や歴史などを学んでおくのもよい。

古代都市として栄えた、ポンペイの歴史に迫る!

出典:museum.wa.gov.au

紀元前8世紀頃にこの町が生まれ豊かな自然の恵みにあふれていた

紀元前8世紀頃に、このポンペイという町が生まれた。大地は豊饒としており、たくさんの作物が栽培され、海では海産物が豊富に獲れるなどの豊かな恵みによって繁栄していた。さらに、たくさんの皇帝を生み出したローマ帝国の時代になると、ポンペイはより豊かになった。繁栄によって、市民権がある人には税金が課されなかったが、残念ながら貧しい人や奴隷もあった。しかしそれらの人は、よい仕事に就けたり市民権を得ることもでき、さらには無料で食料も与えられた。でもその反面、見世物や売春の仕事しかなかった人も少なくない。
参考文献:ヨーロッパの世界遺産2(AllAbout編集部出典)

迫力と見ごたえある古代の遺跡が集結!

ここの見どころは、数えきれないほどあるが、特に見逃してはいけない有名な建造物を紹介する。

トンネルのような形をした2つのアーチがあるマリーナ門(Porta marina)

ポンペイへ入るには西にあるこの門を入り口にすることが多い。門は全部で7つありどこから入っても構わなくて、海に面しているのが特徴。ポンペイに活気があふれていた頃はこの門から多くの商品が通って、海を伝ってあちこちに輸出されていた。

古代ローマにも必ずあった広場という意味があるフォロ(foro)

ここは一言で言えば、多目的に使われた公共の広場。今でも多くの観光客が集まってきて、いくつもの支える柱が残っていることから、相当スケールがあった神殿があったと推測されている。そしてこのようなフォロは、古代ローマ時代にはポンペイだけに留まらず、他の都市にもたくさんあった。

出典:pictur.net

なかなか素晴らしいヴィーナス神殿(Tempio di Venere)

マリーナ門を潜るとすぐ右側に建っている神殿。バシリカのすぐ隣にもあり、その先には先ほど紹介したフォロやこれから紹介するアポロ神殿もあって、ナポリ湾を見渡せる位置に建てられている。ちなみにヴィーナスはポンペイを守る女神としてあがめられてきた。

先ほどのフォロに隣接しているアポロ神殿(Tempio di Apollo)

広場・フォロから南西の位置にある神殿。紀元前6世紀に建てられて、ポンペイ内での神殿で一番古いものとみなされる。当初の周囲は48本もの円柱がそびえ立っていたが、今ではたった8本になってしまった。そしてここには、芸術の神・アポロの銅像が弓を引く様子で設置されている。

ローマ皇帝が建立したジュピター神殿(Tempio di Giove)

こちらはポンペイ遺跡で一番大きくて、ローマ神話の神・ユピテル及び3体の神像を祀るために建てられたと言われている。今でも間近で見ると圧倒されるような太い柱が残っていて、天候がよければその向こう側にある火山を眺望することもできる。

アウグストゥスの神殿(Tempio Fortuna Augusta)

フォロの北にある神殿で、カエサルの養子だったアウグストゥスが権力を握っていた時代、ポンペイの有力者だったマルクスが私有地に建立した。規模はそんなに大きくないが、先ほど紹介したジュピター神殿の造りを基にして作ったと言われている。

出典:www.vitruvius.be

商業取引や法に基づく裁判などを行ったバジリカ(Basilica)

ここはフォロと同じ公共施設に当たり、重要な職務を行う場所でもあった。人々の暮らしに欠かせない商業取引や、裁判を行う法廷の役割を果たしていたこともある。高い位置に付けられた窓が日光を取り込んで、中央の広間が周囲の回廊より高く作られている。

日本にある銭湯のようなスタビアーネ浴場(Terme Stabiane)

ポンペイ内には、3つの浴場が現存していて、その中で一番保存がいいのが、このスタビアーネ浴場である。天井や壁にきれいな絵画が描かれていて、浴室だけではなくサウナやプール付きの運動場、サウナを出た後の水の浴槽もあって、日本の銭湯と同じように男湯や女湯に分かれていて、服を脱ぐための脱衣所も完備されていた。ここに来ればまさしく、漫画「テルマエ・ロマエ」のワンシーンを連想しそうである。

ちょっとコロッセオにも似ている円形闘技場(Anfiteatro)

またの名を「アンフィテアトルム」とも言う、かなり大きな円形闘技場。形状は内側にくぼんでいて、闘技の危険が及ばないように高い防壁が付けられていて、1万2000人もいる大勢の観客が闘技を見られるような席もたくさん完備している。ローマの名所「コロッセオ(コロシアム)」に似ているが、コロッセオとはまた違う印象があり、背景にはヴェスヴィオ火山がそびえている。

今でもスポーツの試合が行われそうな大体育場(Palestra Grande)

国民体育大会が行われそうな、円形闘技場の隣にある施設で、面積は18200平方メートルという広さがあるが、火山の噴火によってここで100人以上の人が亡くなった。

大勢の観客を呼び込んで劇などを楽しめるオデオン(Odeion)

ここは、大勢の観客が座れる席を完備した、小さな劇場。どの席に座っても肝心のステージを鑑賞することができて、芸術性と音が響く効果を狙った造りとなっている。街が生きていた頃は屋根も完備されていて、劇場らしく、合唱や演劇が披露された。

壁に描かれた絵がとても素敵な秘儀荘(Villa dei Misteri)

ポンペイ内の北西にある、この秘儀荘は紀元前2世紀前まではそんなに大きな豪邸ではなかったが、改築が進められてこんなにきれいなものに生まれ変わった。中には背景が赤くて等身大の人物が描かれていて、心に残りそうな壁画が描かれているので、ポンペイに来たらぜひ見ておきたい。

出典:www.lettera43.it

きれいに整った中庭もあるヴェッティの家(Casa dei Vetti)

ポンペイ遺跡内では、数々の裕福な人が暮らしていたとされる民家も残っている。このヴェッティの家もその一つで、芸術性豊かな壁画が描かれているのが特徴だ。

裕福な人が暮らしていた立派な邸宅とも言えそうなヴェヌスの家もある

こちらも裕福な人が暮らしていたとされる家の1つで、帝政時代の様式を保っている。入ってみると床に敷き詰めたモザイク画が飛び込んできて、壁にはフレスコ画という素晴らしい壁画があるのが特徴。

着た服をきれいに洗濯できるステファノの洗濯屋(Fullonica di Stefano)

その名の通り洗濯を行う、クリーニング屋のような場所。洗濯は、現在のような洗濯機や乾燥機があるわけではなく、全部手作業で行った。今は噴火で全く見えなくなったが、このような設備は他にもたくさん敷地内にあった。

この遺跡へ足を踏み入れる前に、知っておいたほうがよい知識

・必ず地図をよく見て自分のいる場所はどこかを把握しておくこと。さらに、道は平らに舗装されてないのでデコボコしていることもある。なので歩きやすい靴で行くのが無難。
・また、夏に遺跡を訪れるなら、日差しがとても強いので、帽子とサングラスがあるとよい。さらに脱水症状を防ぐために飲み物は携帯しておきたい。
遺跡内で販売している飲み物の値段は結構割高なので、安く買える売店で買っておくとよい。

さらにポンペイの謎を知りたい方は「国立考古学博物館」へ!

ナポリ国立考古学博物館でポンペイの様子をさらに深く知ることができる

2階で、ポンペイの芸術の粋を展示している。壁画などの絵画、ブロンズ像などの彫刻といった作品が多い。

写真はナポリ博物館の中に展示されている犠牲者を模った石膏の模型

そして、ポンペイが滅びる原因となった、火山噴火で亡くなった人の様子を再現した石膏もここに展示されている。

これが、ポンペイを壊滅させた「ヴェスヴィオ火山」

出典:www.positano.com

たった1回の噴火でポンペイの街全てを壊滅させたヴェスヴィオ火山

ポンペイの壊滅となった要因は、このヴェスヴィオ火山の大噴火だ。西暦79年にこの山が噴火したことによって流れた火砕流が、南東10キロにあるポンペイの何もかもを飲み込んでいき、街は火山灰に埋もれてしまった。

噴火によって発生した有毒ガスと火山灰が街全体を覆い尽くしたのだ

噴火によって発生したのは火砕流だけではなく、猛スピードで進んだ有毒ガスと火山灰もある。この瞬間でおよそ2000人の命が奪われて、街はもう復興不可能の状態になってしまった。

日本から、ポンペイへ向かうには

幸い日本からイタリアへは、ローマまたはミラノへ運航する直行便がある。
最短距離でポンペイへ行くなら、ローマへの便をおすすめする。
ローマに到着したら、バスか電車でナポリへ渡る。
ナポリ・ポルタ・ガリバルディ駅からポンペイ・ヴィッラ・ディ・ミステリ駅まで向かう。(ソレント行きの列車で)
※ポンペイ行きの線はたくさんあるので、どの線が一番近いか把握しておくとよい。


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