シンデレラは100年以上前に翻訳されて「おしん物語」と呼ばれていた!※ NHKのおしんとは別物‏

シンデレラは100年以上前に翻訳されて「おしん物語」と呼ばれていた!※ NHKのおしんとは別物‏

子どもから大人まで知られている童話「シンデレラ」、それは外国風の内容だけではなく、日本風の内容もあることを知っているだろうか。やっぱり日本風にアレンジすると、西洋版とは一味も二味も異なることがわかってくる。

2018.10.4 UPDATE

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まずは世界中で愛される名作・シンデレラの大まかな内容を紹介!

出典:www.poplar.co.jp

きれいなドレス・カボチャの馬車・立派なお城が印象的なシンデレラ

多くの子供たちに愛されていて、たくさんの絵本となっていて、ディズニーでも取り上げられた「シンデレラ」の話の内容は、説明すると以下のようなあらすじになっている。

シンデレラは、継母とその連れ子である姉たちに日々いじめられていた。
あるとき、城で舞踏会が開かれ、姉たちは着飾って出ていくが、シンデレラにはドレスがなかった。
舞踏会に行きたがるシンデレラを、不可思議な力(魔法使い、仙女、ネズミ、母親の形見の木、白鳩など)が助け、準備を整えるが、12時には魔法が解けるので帰ってくるようにと警告される。
シンデレラは、城で王子に見初められる。
12時の鐘の音に焦ったシンデレラは階段に靴を落としてしまう。
王子は、靴を手がかりにシンデレラを捜す。
姉2人も含め、シンデレラの落とした靴は、シンデレラ以外の誰にも合わなかった。
シンデレラは王子に見出され、妃として迎えられる。

出典:ja.wikipedia.org

100年以上前に「日本バージョンのシンデレラ」が作られていた!

シェイクスピアの翻訳に全力を注いだ実績がある坪内逍遥(つぼうち しょうよう)

おしん物語をこの世に生み出したのが、坪内逍遥という明治時代に活躍した文豪だ。ちなみに彼の代表作は、『小説神髄』や『当世書生気質』などで、シェークスピアの数々の物語を翻訳して来た。

出典:doramapuro.xyz

一般書籍として出回っていたのではなく学校で使う教科書に載っていた

日本で「シンデレラ」が伝わったのは、明治時代の頃で、一般的な書物ではなく、小学校の教科書「国語読本高等科女子用」に収められて、題名は「おしん物語」であった。

橋田壽賀子が脚本したNHKのテレビドラマ・おしんとは全く関係ない

なお、橋田壽賀子が脚本したドラマ、「おしん」とは全く関係ない。しかし主人公が召使のように働かされて、いじめられるところや、苦難を堪え忍んでいるところは「おしん」の共通点であることには変わりない。

物語の内容は西洋版シンデレラとほぼ同じだが、 日本風にアレンジしているところもある!

身に着けるドレスを始めとするありとあらゆるものをとにかく和風に

「おしん物語」では、シンデレラに出てくる「ドレス」「ガラスの靴」「魔法使い」「王子様」「舞踏会」という洋風の言葉が出てきても、当時の日本人の読み手には「何のこと?」と思われてしまう。だから作者は、出てくる道具などは日本のものにしようと考えた。それが、以下の通りだ。

ふんわりとした美しいドレスは高い値段が付きそうな絹でできた着物

先ほどのようなきれいなドレスは、シンデレラには欠かせない逸品となっている。しかし、おしん物語はあくまで和風がコンセプトなので、あのようなドレスは出せない。だから絹でできた立派な着物がドレス代わりとなっている。

みすぼらしいシンデレラを美しく変えてくれる魔法使いは七福神の弁天様

シンデレラを美しくしてくれる魔法使いは、七福神の一人・弁天となっている。琵琶という弦楽器を持っていることが有名で、あちこちの神社で祀られていることも多い。

出典:anythingdic.net

物語の中で重要な役割を果たすガラスの靴はなんときれいな柄の扇子

シンデレラの物語で重要な役割を果たす、ガラスの靴は何と扇/扇子となっている。なぜこのようなものになったのかは、後程詳しく説明する。

シンデレラと結ばれるかっこいい王子様は地位がある華族の若君なのだ

びしっと正装を決めた、シンデレラと結ばれるお城の王子様は、身分がよいとされる華族の息子・若君となっている。こちらでも服装はもちろん、器量も整っているに違いない。

出典:mainichi.jp

お城で行われるきれいな舞踏会は今でも皇族によって行われている園遊会

立派な造りのお城で行われる舞踏会は、今でも皇族が催している「園遊会」。ここでは数々の著名人が集まって、お食事をしたり楽しく懇談することで有名である。

出典:mr-coo.com

弁天によって掛けられた魔法が解けてしまう時間は夕方の6時になっている

魔法使いにかけられた魔法が解けて元に戻る時間は、シンデレラでは午前0時だったが、おしん物語では本日の午後6時となっている。そのように変更した理由は不明だが、できれば夜も楽しめるように、終わる時間をもっと長くしてほしいと感じる。

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最近ゆえあって,坪内逍遥の『国語読本』にはまっています。 明治33年刊行のこの書籍は文庫本サイズの和本で,とても読みやすい教科書となっています。 そのせいか日夜枕元で手にして

おしん物語の、肝心のラストシーンはどうなったか

結末に欠かせない手がかりはおしんが持っていた「扇」と「その模様」

「シンデレラ」のラストシーンは、王子様がシンデレラの忘れたガラスの靴を頼りに、町を歩き回りシンデレラを探し求める。しかし、「おしん物語」では、若殿がおしんが忘れた「扇」を頼りに、おしんを探す。探す方法は、女性一人一人に閉じた扇を見せ、「この扇の柄は何ですか」と尋ねた。
(ちなみに写真の扇は、物語で出てくる扇ではない)

なぜおしんを探す手がかりは足に履く靴ではなく日本風の扇だったのか

なぜ、靴などの履物ではなく扇だったのか。その理由は明治時代には、靴が一般的に広まってなくて、ましてや、みすぼらしいおしんが履くはずがない。だからといって、日本が誇る履物である草履や下駄だったら、サイズ関係なく誰でも簡単に履くことができてしまう。

出典:hon.bunshun.jp

先ほどの説明通りに基づくように作者の坪内は扇を思いついたのだ

結末の部分を日本風にするならどうしたらよいかと、作者の坪内逍遥は悩んで、ようやく思いついた。「持ち主なら閉じている扇の柄をぴたりと当てることができる。」と・・・そしておしんは、質問に対し「この扇の柄は、白波と菊の模様です」と答え、宮殿の若殿と結ばれることになった。めでたしめでたし。

「おしん物語」の参考資料サイト


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